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モロッコで21世紀を迎える話35(放浪記378)

 

ジャニス・ジョプリンの子供達

 

僕がジャニス・ジョプリンを超えると評するその女性は、4人の子供たちを引き連れていた。

年は3歳から11歳の女子たちである。

 

嘘か本当かは知らないが、強いエネルギーを持つ女性は、その強女遺伝子を後世に伝えるために女児を産むことが多いという。

彼女をみる限りでは完全に納得できる話だった。

 

その強女遺伝子は子供たちにも見事に受け継がれていて、娘たちも親に負けず劣らず逞しくてワイルドだ。

”腕白でも良い、逞しく育って欲しい”といった誰かの言葉を地で行くような子供達だ。

 

彼女たちは皆それぞれ別の父親の遺伝子を受け継いでおり、顔も違えば肌の色や人種まで違っている。

 

 

ファイアーダンス

 

3歳の末っ子以外に共通しているのは、全員がドレッドロックスの髪型をしていることと、全員がファイアーショーを趣味にしていることだ。

 

ドレッドの7歳の女の子がガソリンを染み込ませたポイ(ジャグリングの一種、サーカスなどで披露される)に火をつけてグルグル振り回して踊りを披露している姿はただならぬインパクトがある。

 

その子が演じ終わると、9歳の子にバトンタッチする。

9歳の子は7歳の子よりも2年分上手に踊る。

 

そして最後は11歳の子がファイアーダンスを披露するのだが、他の二人とは比べ物にならないほど上手い。

彼女たちなら今すぐにでも世界中を旅して暮らしていけるだろう。

 

 

非社会育ち

 

彼女たちは学校へ行ったこともなければ、そもそも社会に属したことすらない。

純粋に旅人の世界やヒッピーの世界の中だけで育ってきたようだ。

 

勉強などに関しては、読み書き算数以上のことはやっていないと思う。

だが、彼女たちは人生において重要なことをすでに学んでいた。

 

友人と仲良くし、おいしい食事を作り、自分の好きなことで自由にお金を稼ぐ。

感情を自由に表現し、愛を表現する。

 

彼女たちの力強い存在感は、僕にとっては学校の不必要さを確信させるに十分だった。

大事なのは生きるということを学ぶこと。

誰かが大事だということを勉強することではない。

 

社会から完全に逸脱して、それでいて最高に幸せに生きている彼女たちの存在は、僕の意識を解き放つことに成功した。

 

 
 
 
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