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北アルプスの山小屋で働く話37(自叙伝477)

 

疲れ

 

昨日は8時間ほどぶっ続けで歩いたので足腰が疲れていたが、それ以上に山歩きの喜びが大きく、気分は高揚していた。

 

気分の高揚に任せてどんどんと突き進む。

何よりも気分がいいのは、人の姿も人工物の姿も一切見えないことだ。

周囲何キロ、何十キロにも続く山並みの大自然と自分だけ。

 

まさに外宇宙と内宇宙の境目にいるような不思議な感覚だった。

 

 

休憩

 

途中で水の流れる沢を見つけたので休憩することにした。

 

沢から水を直接飲むことには少し気が引けたが、味見してみると混ざりけのない透明な味がする。

こんなに美味しい水だったら大丈夫だろうと鷹を括って、ガブガブと飲み干した。

 

登山に疲れた喉の渇きを山から流れ出る水によって癒すという行為は、自然との一体感を高めて、より一層に気分を高揚させる。

沢の水を使い、持ってきていた食料をガスコンロを使って調理した。

 

お米とドライ野菜の簡単な炊き込みご飯だが、新鮮な水を使って調理すると、美味しさが段違いだ。

 

時間に少しゆとりがあったので、カバンからキャンプマットを引っ張り出して昼寝をする。

歩いて、ご飯を食べて、昼寝をするという単純な行為だが、とんでもない絶景の中で行うというだけで、何倍にも特別感が増しなんとも気分がいい。

 

 

美しい池

 

小一時間ほど昼寝をすると、疲れは吹き飛んでいた。

満ち溢れるエネルギーに任せて、ガツガツと歩き続ける。

 

しばらく歩き続けると、予定よりも早くに池まで辿り着いた。

 

皆が絶賛するだけのことはある。

鏡のような水面に景色がそのまま反映されている。

 

地形的なものなのかして風が吹き込まず、水面は静謐さを保っている。

そこに映り込む山頂も実物と変わらぬ美しさを持っており、山頂が朝日に焼ければ、美しさは単純に二倍になるだろう。

 

この日は、持ってきていたガスの火を使わずに、焚き火を起こして食事を作ることにした。

 

本来ならこの場所では焚き火もキャンプも禁止なのだが、山小屋の従業員という地元民特権を使って、”これでいいのだ”と言うことにした。

 

 
 
 

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