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放浪記031

大阪のドヤ街での一人暮らしの話4(放浪記031)

兄との音楽ユニット

 
 
 
僕が一人暮らしを始めたのと同じ頃に、兄が長年続けていたバンドが解散した。
 
 
 
兄は実験的なロックバンドでベーシストとして活躍していたのだが、音楽性の違いやそれぞれの都合によりバンドが続けられなくなったようだ。
 
 
 
兄はこの頃に、だんだんとメジャーになって来ていたテクノミュージックと、自分がやっていたロックとが融合したような音楽がやりたかったらしい。
 
 
 
一人暮らしを始めたばかりで時間と場所があり、テクノに興味を持っている僕と兄弟ユニットを組むのは面白そうと思ったようで、一緒に音楽をやろうと誘ってくれた。
 
 
 
特殊な生まれ育ちをして、変わった音楽の趣味を持っている兄弟だからこそ出来る音楽があるんじゃないか?
 
どうせやるなら、とことん個性を追求して今までにない面白いものを創ろう!
 
 
 
僕たちは可能性に満ちた新しい遊びに胸を高鳴らせていた。
 
 
 
 
 
 

初めて買った楽器

 
 
 
当時1996年の電子音楽シーンは、パソコンで作曲するという方法が出始めた頃で、シンセサイザーやサンプラーやシーケンサーなどの機材をMIDIケーブルで繋いで作曲するという人も多かった。
 
 
 
兄はシーケンサーと言う電子音を鳴らすシンセサイザーや、サンプル音を鳴らすサンプラーなどを自動演奏させる機械を持っていた。
 
 
 
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他にも色々なケーブルやエフェクターなども持っていたので、僕がサンプラーさえ買えば、理屈上は作りたい音楽を作り始めることができると言う。
 
 
 
それならばと当時、中古で3万円もしたサンプラーという機材を買うことにした。
 
僕は初めて買った楽器が、ギターではなくサンプラーだと言うことが、新世代を象徴しているようでカッコいいと思っていた。
 
 
 
当時は楽器を演奏する喜びを知らなかったので、
”サンプラーという楽器は、どんな音でも録音して利用することができるので、ある意味全ての楽器を手に入れたようなものだ”
と思っていた。
 
 
 
録音した音や色々な曲から拾ったサンプル音などをサンプラーに収録し、シーケンサーで順序よく鳴らすことで音楽を奏でようという考えだ。
 
 
 
 
 
 
 

作曲活動

 
 
 
毎週火曜日の夜に、うちの家で作曲活動を行うことにした。
 
 
 
兄の家から、うちの家までは車で40分ほどの距離。
兄は火曜日は早めに夕食を食べてうちへやって来る。
 
 
 
エホバの証人をやっていた時は毎週火曜日に集会に行って聖書の勉強をしていたが、それはサブカルチャー教の兄との音楽活動に取って代わった。
 
 
 
僕たちが大ファンだった”チボマット”や”ケミカルブラザーズ”といった、サンプル音を駆使した音楽を自分たちなりに解釈して表現したいと思っていた。
 
 
 
手始めにサンプラーとシーケンサーをつないで音を鳴らしてみるというところから始まり、試行錯誤しながらシーケンサーで作曲してみるというところまでたどり着いた。
 
 
 
何週間か繰り返したところで、ある程度曲っぽいものが出来上がってきた。
 
でも僕たちが目指しているものから比べると程遠かった。
 
 
 
早くもサンプラーとシーケンサーだけで作ることのできる曲の限界に気づいた僕たちは、パソコンでの作曲に移ることを検討し始めた。
 
 
 
 
 
 
 

マッキントッシュ

 
 
 
折しも前述のNさんの影響でバイト仲間の間に『マッキントッシュ・コンピューター』を買うことが流行っていたので、流れに乗り思い切って買うことにした。
 
 
 
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合計15万円。
もちろん『人生最大の買い物』だった。
 
 
 
姉が昔、MSXという家庭用のコンピューターを高校の授業のために買っていたので、ほんの僅かだがコンピューターを触ったことはあったがパソコンを触るのは実質的に初めて。
 
今では日常語になっている『コピペ』なんて言葉もなかった時代だ。
 
 
 
パソコンを使うのは最初は混乱しまくったが、どれだけ無茶苦茶に操作しても『初期化すれば元どおりになる』ということに気づいてからは、恐れることなく全てのボタンを押しまくって、あっという間に使い方をマスターした。
 
恐怖心を好奇心に変えることで成功したいい例だと思う。
 
 
 
 
 
つづく。。。
 

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