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ロンドンに住む話36(自叙伝340)

 

ゴール設定

 

僕たちのモロッコ行きが決まってからは、生活がさらに輝きを増しはじめた。

 

いつまでもあると思うと、雑に扱ってしまうが、もう終わりだと思うと急に惜しくなる。 

それまでの当たり前のロンドンの日常も、残りわずかな日々だと考えると貴重に思えてくる。

 

いつもの週末のフリーマーケットなども、いかにもロンドンらしく、特別なロンドン観光の一部になってくる。

 

いつもの自転車での通勤路までが急に旅情緒を帯びてくる始末だ。

 

 

タイレストラン

 

僕たちがロンドンの日々を惜しむのと同時に、バイト先の人たちも僕との別れを惜しんでくれていた。

 特に僕の直属の上司であるタイ人シェフの”オネエサン”は、僕のことがタイに残してきた息子と被って見えるらしく、大袈裟に悲しんでくれていた。

 

オネエサンは常に僕のことを特別待遇してくれていて、僕たち貧しい旅人カップルを助けようと、余りものの食材などを分け与えてくれていた。

 

 

グリーンカレー

 

タイ料理で一番人気のグリーンカレーは1日の初めに大量に作ることで、混雑時の注文をうまく捌いていた。

 

だが、レストランの人の入りというのはわからないもので、突然大量のお客さんがやってくることもあれば、全くの閑古鳥の日もある。

それ故に時として大量に余ることもあり、そのほとんどが僕への土産になる。

 

この、タイ・グリーン・カレーというのは、食べたことのある人はわかると思うが、独特のクセのある味で、一般的なインドカレーに慣れた身からすると少しとっつきづらい。

初めの頃は僕もIちゃんもグリーンカレーをあまり好きではなかったのだが、頻繁にギフトとしてくれるものだから、段々と我が家の冷凍庫を圧迫するようになっていた。

 

だがそれも、時間と共に僕たちの舌がタイ風味に慣れていき、ロンドンを出る頃には自然と大好物に変わっていた。

元々苦手だったものが好きになるという工程は、なかなか気持ちの良いものがあり、今でも良い思い出になっている。

 

この日から20年ほど経った今でも、グリーンカレーは僕の好物で、当時の思いが心を喜ばせてくれる。

 

 

 
 
 
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