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ロンドンに住む話28(放浪記332)

 

Tくん

 

Dくんがグラントンベリー・フェスティバルを見逃したことで、Dくんと一緒に楽しむはずだったTくんは一人でフェスティバルを楽しむことになった。

 

Dくんが準備を担当したものは、ダッカに据え置きになったので、イギリスにすでに来ていたTくんは手に入れることができない。

色々と不都合があったらしいが、Tくんは持ち前の旅人精神で乗り越えた。

 

全ての準備が直前に吹っ飛んだものだから、結果的にぶっつけ本番でフェスティバルに臨み、その必死具合が逆に功を奏して最高にフェスティバルを楽しむ事につながった。

 

Tくんは僕と同じ歳の21歳で、旅人としてはかなり若い。

だが、インドを旅していた時に、西欧人のグループと一緒になって何ヶ月も過ごした事で、英語を話すことができるようになっていた。

 

 

フェスティバル

 

英語が話せれば、何があろうとイギリスではなんとかなる。

ましてや自由人が集まってきて助け合いの精神に満ちたフェスティバルでは、全てがうまくいく。

 

現場で色々な人たちに出会い、実はこうこうこう言うことで何も持ってなくて困ってるんだけど、とりあえず楽しむために遥々日本からやって来たんだと説明する。

 

こう言う祭魂のあるストーリーは、グラントンベリー・フェスティバルのようなヒッピー的な様子の強いイベントに来る人たちの大好物だ。

皆が皆、喜んでTくんのサポートを申し出る。

 

若干21歳の極東の島国から来た若者で、貧乏で旅をしていて、友人が突如来れなくなった。

しかも、しっかりと英語を話すことができる。

 

彼は気がつくと、色々な人に出会い、つながりが繋がりを呼び、たくさんの友達ができていた。

その流れで、フェスティバルが終わった後も、新しい友人たちの家々をはしごして周りながら楽しく過ごしていたらしい。

 

だからDくんがロンドンへやって来ても、すぐにはDくんに会いに来ることができなかった。

それが、やっとひと段落して、Dくんに会うために我が家へやって来る事になった。 

 

 

 
 
 
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