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ロンドンに住む話34(放浪記338)

 

脳科学の最新情報

 

僕が買った本の内容は2000年の脳科学の最新情報を網羅しつつ、哲学的な話や精神医学や宗教的な意識の話にまで及ぶようなものだった。

 

21年前の最新情報なので、今では古い情報になっているだろうし、間違えている情報も数多いとは思うが、立花氏の知に対する姿勢や態度には大きな影響を受けた。

 

他の本も欲しかったが、お金が無かったので、この本を繰り返し読んで過ごすことになった。

 

本の中に出てきた話で、印象深かったのは、”人生において二十歳前後に行った行動がその後の人生に与える影響が最も強い行動になる”と言った言葉だ。

 

この言葉を読んだ21歳の僕は、読むべき時に読むべき言葉を読んだような気になって、人生の深みが増したように感じていた。

 

 

慎重な選択

 

お金さえ出せば日本語の本をいくらでも手に入れることのできるジャパン・センターは、僕にとっては非常に魅力的でありつつも魔境のような恐ろしさを持っていた。

 

不法就労の皿洗いのバイトで食いつないでいる旅の若者には日本の3倍の値段の本は簡単に手が出るものではない。

 

だが、それと同時に日本語の本は3倍の値段を出してでも欲しいものでもあった。

需要と供給が成り立っているのである。

 

僕は需要と供給がせめぎ合う、そのギリギリのラインを慎重に慎重に選択するということで乗り切った。

 

 

スナフキン

 

僕が次に手に入れた本は、「楽しいムーミン一家」の英語版に日本語対訳が付いているものだった。

ムーミンは読んだことがなかったけれど、読みやすそうだし、英語の勉強をしながら本を面白く読めて一石二鳥だとの思いで購入した。

 

これが、僕の心の師匠であり、旅のマスターであるスナフキン先生との最初の出会いである。

 

だが、英語版では英語の勉強にはなったが、英語に対する理解力ゆえに、心の内側まで響いてくる事はなく、ムーミン作品との出会いを果たすのは、この後何年も経ってから日本語で読むようになってからである。

 
 
 
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