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日本へ帰国する話13(自叙伝169)

 

トラウマ

 

初めてのガールフレンドとの時間は順調に進んだ。

 

だが時間が進むにつれて、自分の中にある矛盾とトラウマに気がつくことになる。

 

僕は、ガールフレンドとの恋愛関係を無意識のうちに母から隠すようになっていた。

 

僕の母は離婚によるトラウマを負っていて、家庭では父の話題に触れることはタブーだった。

それに合わせて、エホバの証人のキリスト教原理主義的な価値観が、性的なことや恋愛的なことからできるだけの距離を置かせる。

その二つが合わさり、性に関する一切の事がタブーの話題になる家庭に育った。

 

普通の家庭でもテレビを見てる最中にドラマのキスシーンなどが出てくると、気まずくなったりするのだろうが、それをもっと極端にした感じ。

 

エホバの証人は異性との交流を危険視していて、一対一で異性同士が時間を過ごすことは禁止されている。

異性の誘惑=悪魔の囁き、くらいの感覚があった。

 

宗教的な理由で、思春期に異性と関わりを持たないように徹底的に管理されていたし、僕が異性に興味を持つような匂いを嗅ぎつけると、”別れた父親のようだ”と揶揄されて、罪悪感と恥の感覚と共に抑圧された。

もちろん母は無意識にやっているのだが、その母からの抑圧は僕の無意識にトラウマとして根付いていた。

 

 

無意識

 

その無意識のトラウマが、母に対してガールフレンドのことを話すことを躊躇させた。

 

意識のある部分では、ある種の浮気のような要素があったのかも知れない。

母子家庭の息子として育つということは、無意識のうちに母親の男性パートナーのような役割を演じているのだろう。

 

異性との恋愛関係を普通に話せる家庭に育った人には理解できない感覚だと思うが、僕の育った環境では恋人のことを隠すという事が自然な行動だった。

 

だが、隠していても電話がかかって来たりするし、仕事からの帰りが遅かったりするので、母も気づいていただろうとは思うが、お互いにその話題に触れない事でやり過ごしていた。

 

今になって思うと非常に歪んでいて、病んでいる話だと思うが、当時の自分はその矛盾とトラウマの歪みを性格の一部としていた。

Iちゃんはそのことを気にしてはいたが、あまり触れないでいてくれた。

 

当時の僕にも母にもIちゃんにも、現実と向き合って健全な人間関係を築くほど、精神的な成熟はなかった。

 

 

 
 
 

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