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北アルプスの山小屋で働く話1(自叙伝442)

 

脱出

 

5月の後半になり、待ちに待った山小屋バイトの日がやってきた。

 

僕はモロッコでの大自然の体験の後に大阪に住むことになったので、近代化されたコンクリートでの暮らしに辟易していた。

 

ガンドルフさんに教わった自然と調和した生き方を実践したかったが、大阪で実現することは難しかった。

 

都会から抜け出せるというだけで、ワクワクするものがあった。

 

僕たちは装備をしっかりと整えて、ガッツリと働く準備ができている。

 

予定では、11月の頭まで山で籠ることになっている。

 

 

長野

 

僕たちは夜行バスを乗り継いで長野県へと向かった。

 

僕は外国を旅してはいたが、日本国内はほとんどどこにもいった事がなく、大阪よりも北に向かったのは、中学校の修学旅行で東京に行った以来だ。

 

見たことのない日本の景色が待っている。

未知の世界への旅立ちだ。

 

朝イチで松本市にある事務所に集合し、車で登山道の入り口まで送ってもらった。

山小屋の支配人が先導する登山ツアーに同行する形で山小屋へと向かうようだ。

 

あまり体力に自信があるわけではないので、登山ツアーに参加するご老人がたと一緒に登山するのは気が楽だった。

 

しかもありがたいことに、従業員特権で山の途中まではケーブルカーで荷物を運んでもらえた。

このケーブルカーは業務用らしく、お客さんの荷物を運んではいけないルールになっているらしい。

 

 

登山

 

登山道の入り口で、これから一緒に働くことになるR君に紹介された。

 

栃木からやってきた20歳のR君は、目つきが鋭くて無口な男の子だった。

これから一緒に何ヶ月も働くことを考えると、その目つきの悪さやムスッとした表情はあまり嬉しいものではなかったが、無下にもできない。

会話は弾まないながらも、適当に話しながら山を登る。

 

山に登るのは思ったほど辛くはなかった。

この調子だと、大した苦労もなく仕事ができそうだ。

 

ご老人方と一緒に歩いていると、自分の体力に自信がついてくる。

 

ましてや、彼らは荷物を背負っているので、歩みも遅い。

1、2時間歩いたところで、ケーブルカーの終着点である中継小屋へと辿り着いた。

 

楽なものだ。

 

 
 
 

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