ネパールを旅する話2(自叙伝078)

ネパールを旅する話2(放浪記078)

カトマンズへ

 
 
 
 
 
チベットの国境の村の温泉で旅の疲れを癒した僕は、首都カトマンズへ向かうことにした。
 
 
 
 
 
山国なので、他の街へ向かうにしても取り敢えずカトマンズへ向かわなければ話にならない。
 
 
 
幸いにも大した距離ではなく、数時間のバス移動でカトマンズまでたどり着くことができた。
 
 
 
 
 
カトマンズの公害が酷いという話は聞いていたが、まさにその通りで、カトマンズの街を見下ろす丘の上にバスがたどり着いた時には、街の上空だけが排気ガスで曇っていた。
 
 
 
 
 
 
チベットやタトパニの澄んだ空気とは全くの別物だ。
 
 
 
 
 
 
バスはカトマンズのバス停に到着する。
 
 
人々の混雑具合は、僕がネパールやインドで起こり得るだろうと予測していた通りのものだった。
 
 
 
 
 
地元の人からすれば日常の光景で、混沌の中に秩序があるのだと思うが、僕からすると全てがカオスに見えた。
 
 
 
 
 
バス停を歩き回る牛や、叫び合う客引き達とバスのクラクション、我先にとバスに乗り込む乗客達、立ち並ぶ移動式屋台たち。
 
 
 
 
 
大きなバスターミナルに泥の水たまりができて、バスが走るたびに牛の糞尿の混ざった泥の水しぶきを弾くのもカオスだったし、色彩豊かな民族衣装を着て、大量の荷物を頭に乗せたおばちゃん達もカオスだった。
 
 
 
 
 
僕には全てが混沌に見えたが、雨上がりの水蒸気と人々の人いきれ、不思議なお香の匂いによる独特の雰囲気が全てを融合させているようだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

フリーク・ストリート

 
 
 
 
 
僕はその日の宿を求めて、観光客が多く集まるタメル地区ではなく、濃い旅人が多く集まると言われているジョッチェン地区、通称フリーク・ストリートへ向かった。
 
 
 
 
 
僕の宿探しの基準ははっきりとしていて、とにかく一番安い所を見つけるということだけだった。
 
 
快適な場所に滞在するよりも、色々な観光地を回るよりも、出来るだけ出費を抑えて長く旅を続けることが僕にとっては重要だった。
 
 
そうすることでより多くの人生経験を得ることができ、今後の芸術活動に役に立つようになると考えていた。
 
 
 
 
 
いくつかの宿を周り、交渉を繰り返すことで、宿の従業員部屋を格安で借りることができた。
 
 
エレベーターのない建物の最上階の6階の狭い部屋で、楽ではないが安く借りることができた。
 
 
 
 
 
部屋に荷物を置き、街を散策する。
 
 
 
 
 
歩いて数分のダルバール広場へいくと、古い寺院や仏像類が立ち並んでいるのが見える。
 
 
 
 
 
雨上がりの古都は水蒸気が満ちて、独特の雰囲気を醸し出していた。
 
 
 
 
 
2015年の大地震で多くの寺院が崩壊したので、今では見る事はできないが、当時の古都の美しさは素晴らしいものだった。
 
 
 
 
 
寺院の石段では若いカップルや外国人旅行者が座り、チャイを飲んでいる。
 
 
僕も彼らに習って、向かいのチャイ屋でチャイを頼み石段に座って飲むことにした。
 
 
 
 
 
西安の 電車で留学生たちに出会って以来 1ヶ月ぶりの一人きりだ。
 
 
ここでは誰も知ってる人はいない。
 
 
 
 
 
一人きりで旅をし 、異国の風景の中で 一人でチャイを飲むことは、なかなかの風情があった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

雨季

 
 
 
 
ネパールでは悪天候が続いていた。
 
 
 
 
 
僕は雨季などの概念も知らずに、ただ単に雨が多いなと思っていただけだったが、ネパールでは夏の間はずっと雨季だ。
 
 
 
 
僕は、久しぶりに一人になったので外にも出れずに退屈していた。
 
 
一人で時間を潰すようなものは何も持ってきていない。
 
 
完全版へつづく。。。

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