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石垣島でキャンプする話6(放浪記516)

 

年末

 

 

僕たちがキャンプ場について1週間ほどした頃に年末がやってきた。

恋人のいない僕たちにとっては、世俗で騒がれるクリスマスなど、どうでも良い話題だったが、年越しは特別な日にしたかった。

 

 

だが、僕たちが自分で特別な日にするまでもなく、強制的に特別な日になってしまった。

全く予期していないことだったが、全てのお店が休業に入ったのだ。

 

 

レストランも食料品店も全て休業。

キャンプ暮らしなので戸棚に食料があるわけでも無い。

全く予期しない突然の店舗休業で、僕たちは食糧難に陥った。

 

 

 

必要は発明の母

 

 

だが、何もないといってもほんの少しだけ食糧はあった。

二人で残り物の食糧を持ち合わせると、小麦粉が少し、じゃがいもと玉ねぎが数個、油、塩、醤油があった。

これらを合わせて料理を作り、数日間に分けて少しずつ食べれば、年明けの開店まで持ち堪えることが出来そうだ。

 

 

頭をひねって考え出した料理は、刻んだ玉ねぎとすりおろしたじゃがいもに卵を加えて、小麦粉を混ぜ込み、塩を少々、フライパンに油をたっぷりと引いて焼き上げたものだった。

そして醤油をかけて食べる。

お好み焼きの亜種みたいなものだが、すごく美味しくて満足の行くものだった。

 

 

食べるものが無いなどと焦ってしまったが、持ってるものを合わせて頭をひねればなんとかなるものなのである。

 

 

大したことのない話だが、この経験は大きな自信を与えてくれることになった。

寄り集まって工夫すればなんとかなる。

三人よれば文殊の知恵などと言うことわざが頭に浮かび上がってくる。

 

 

 


年越し

 

 

せっかくの年越しなんだからと、僕たちは石垣島で一番高い場所に行って朝日を拝むことにした。

夜中に山を登るのはなかなかしんどい話なので、夕方のうちに山に登り、頂上でキャンプして朝を迎えるのだ。

 

 

山を登り、適当な場所を見つけて寝袋を広げる。

この辺りの融通の効き具合は旅人ならではだろう。

僕たちはどこででも眠ることができるのだ。

 

 

南の島といえども、山頂で夜を明けるのは寒かったが、その寒さに見合うだけのものはあった。

 

 

 

 
 
 

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