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北アルプスの山小屋で働く話31(自叙伝472)

 

新人

 

夏バイトの二人は非常に優秀で、真面目でよく働き、人当たりも良く明るい人たちだった。

 

この小さな小屋に来る前にいた大きな小屋では、毎年バイト同士のいざこざが起こって、過度のストレスを持った上で繁忙期をくぐり抜けなければいけないと脅されていた。

だが、僕のいる小さな小屋では、そのような人間関係のいざこざは嘘のような話で、日々楽しく和気藹々とした雰囲気のまま働くことができた。

 

そこには支配人の人柄も関係していただろうし、小さい小屋だというのもあっただろうし、単純に人選運がよかっただけなのかもしれない。

 

何にせよ、気持ちのいい人間関係と、気持ちのいい環境での肉体労働は、山小屋バイトの充実度を高めていた。

 

 

繁忙期

 

山小屋の仕事は山のてっぺんでのんびりと暮らしているようなイメージがあるかもしれないが、少なくとも僕の働いた小屋は本気で忙しかった。

 

それには経営至上主義の社長による搾取も関係しているが、それ以外にも山小屋の仕事量は下界の便利な生活とは比べ物にならないほど忙しい。

 

街に住んでいれば、スイッチを入れると電灯がつくが、山においてはヘリコプターでガソリンを運んだ上で、発電機を回さなければいけない。

発電機を回すのも、ただスイッチを入れるだけではなく、エンジンオイルをチェックした上でエンジンを回す紐を何度も引っ張った上でエンジンをかけなければいけない。

 

全てがこの調子で、生活の基本的な必要性を満たすために、ものすごい量の仕事が必要とされる。

 

その上で、登山客が泊まりにやってくるのである。

自分たちの必要を満たすにも多大な時間がかかるのに、さらには何十人もの登山客のお世話をしなければいけないのである。

忙しくて当然だ。

 

特に7月20日(当時)の海の日から8月15日のお盆にかけては、地獄のような忙しさが待っている。

少なくともうちの小屋では人間関係のストレスがなかったのがせめてもの救いだった。

 

 
 
 

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