移動 大きな山小屋での仕事に慣れ始めた頃に、次の山小屋への移動の日がやってきた。 恋人のIちゃんと一緒に時間を過ごしながら働けるというのが目的で山小屋に働きにきたが、結果的にはあ
奇行 登山道が整備されたことと、初心者向けで登りやすいという宣伝効果が合わさったことで、登山慣れしていない年配の登山客が大勢やってくるようになった。 だが、それと同時に登山中の事故も増えていく
社長 その山人の個性の代表格とも言えるのが、山小屋の代表でもある社長だった。 以前の記事では、この3代目社長が経営の神様の信奉者になってしまい極端な経営理念を従業員に押し付けてい
Kくん 僕が仲良くなりやすかったのは、K君だった。 ほとんどのアルバイトは全国各地から来ていたが、彼は地元の長野出身だった。 彼の両親は元ヒッピーの旅人で、世界や日本を旅したのち
Rくんの本性 目つきが悪く無口なR君(二十歳)は徐々に仕事に慣れて行っていた。 慣れていくにつれて、彼のキャラクターが大きく変わっていく。 彼は無口なのではなく、実は物凄く極端に
山小屋の歴史 山小屋での日々がすぎるにつれて、他のバイトの人たちと仲良くなり、色々な話が漏れ聞こえてくる。 特に社長に関する噂話は奇妙なものが多かった。 この社長の祖父は、趣味の
労働環境 日本社会の中で働くと、色々な法律の規制がある。 それは、労働者を守るための規制でもあり、労働者を閉じ込めるための規制でもある。 守るための法律としては労働基準法や、労働
1日目 不気味な朝礼での唱和や、仏教修行のような環境整備が終わった後に、まともな仕事が始まった。 僕もIちゃんもR君も初日なので、仕事を始める前に仕事全体を知ることから始まった。
朝食 朝8時に起きて従業員の食堂へ向かう。 朝食の時間だ。 朝ごはんもしっかりとした物が出されて、一日中働くだけのエネルギーを与えられる。 食事は常に満足できるという話は本当のよ
バイト部屋 山小屋について直ぐにバイト部屋をあてがわれた。 僕たちはカップルとして到着したが、カップルに対する優遇はなく、別々の部屋になった。 とりあえず一休みできることに感謝し
中継小屋 中継小屋へ着くと、Mさんという口髭を蓄えた陽気なお兄さん/おじさんが出迎えてくれた。 満面に笑みを浮かべて、暖かく話しかけてくれる。 こんな感じの人なら一緒に働いてみたいと思わせるよ
脱出 5月の後半になり、待ちに待った山小屋バイトの日がやってきた。 僕はモロッコでの大自然の体験の後に大阪に住むことになったので、近代化されたコンクリートでの暮らしに辟易していた
オークション ロンドンでアルバイトをしていた時に革ジャンをもらった話は、以前にこちらの記事で紹介した。 なんかものすごく高そうな革ジャンだったので、日本のオークションで売るつもり
Iちゃんの公演 僕がチェーンレストランでうだつの上がらない日々を過ごしている間、恋人のIちゃんは日々劇団の練習に励み、輝きを増していた。 特に公演まえの1週間は、練習の激しさを増
ガストでの驚き ガストのバイトで驚いたことは他にもある。 ある日、たまたま店長が管理している商品原価の書類を目にすることがあった。 店長は毎日、原価と睨めっこして売り上げを増やそ
アルバイト 山小屋の仕事が決まったのはいいが、仕事が始まるまでまだ二ヶ月ほど期間がある。 Iちゃんは劇団の練習で忙しいが、僕は特にすることもなくぶらついている。 どちらにしろお金
Iちゃん モロッコを最後にして別れたIちゃんに再会する。 Iちゃんの実家は僕の実家からそう遠くはないので、気軽に会える。 僕としては、大きな別れの後に大きな流れの変
日本帰国 帰国の飛行機は何の問題もなく、関空へと辿り着いた。 1年7ヶ月ぶりに帰ってきた日本はどことなく違和感があった。 見慣れた感覚と懐かしい感じがすると同時に、
大転換 僕がロンドンについて1週間もしない頃に、大転換が訪れた。 日本からパソコンが届き、部屋と仕事を探し始めようかという頃だ。 祖父が緊急入院したというメールが母か
お別れ Iちゃんのフライトは僕よりも先だったので、日本へ旅立つお見送りをした。 お互いに納得ずみの別れなので、悲しみなどはない。 納得しあい、笑顔でお互いを見送ることができた。
最後の日々 僕たちは、ガンドルフさんやFさんに別れを告げて、モロッコを出る心構えをしていた。 この後は、僕はロンドンへ住み、Iちゃんは大阪で演劇の道に進む予定だ。
田舎 僕たちは、街を出て田舎へ向かう。 田舎といっても街から車で40分くらいの距離だが、たったの40分で雰囲気はガラリと変わる。 モロッコの街の都市生活から、地中海沿岸の乾燥した
Fさんとの再会 ガンドルフさんは田舎の方に住んでいるので、まずは街に住むFさんと再会してから、一緒にガンドルフさんに会いにいくことにした。 Fさんはオアシスにいた時から都会的な雰
湖 向こうには湖が見えている。 満月の下で泳ぎたいところだが、街の住民の飲み水になるものなので、ガンドルフさんから泳ぐことは禁止されている。 満月の明かりに照らし出
別れ、そして旅立ち ついに別れの時が来た。 Yくんとの別れであり、結果的に二ヶ月半ほど滞在することになった砂漠の街ワルザザードとの別れであり、フェスティバルからみの色々な思い出と
次のステージ 満月の日の次の日は、タープの下の木陰でゆったりと過ごした。 その日は日が暮れてすぐに眠りにつき、朝日が昇るまでの時間をしっかりと眠り、疲れをとった。
滝、湖、満月 僕たちは、滝の上側にある少し盛り上がった岩場に座り、夕陽を見ていた。 夕陽が沈むと、満月が地平線から昇ってくる。 砂漠においては、家の天井もなければ、
日本人同士 Yくんは英語がペラペラだし、Iちゃんもモロッコに来て以来、英語がどんどんと上達して行っていて、みんなと会話を楽しんでいた。 僕も、モロッコに来て以来、ものすごい英語の
Yくんの服 まず最初に驚いたのが、Yくんが来ていた服だ。 ただのトレーナーのようなものかと思いきや、特殊素材でできており、薄くて軽くて頑丈で、何よりも相当に暖かい。 僕はそんな知
山男 Yくんは日本で暮らしていたときに、カナダ時代の親友と共同生活していた。 その時の同居人が登山道具関係の会社で働いていたことから、登山関係者と深い繋がりがある。 年末の忙しい時期には、バー
滝 トラックを見送った後は、自分たちの旅をする番だ。 僕たちは、それぞれのバックパックと共同生活の残り物の食材を背負い、湖のそばにある滝へと歩き始めた。 30分ほど
移動 小屋を借りている期限の最終日にトラックがやってきた。 今まで使っていた日用品をガンドルフさんの住居のあるタンジェへと運ぶためだ。 僕たちは皆、最初から最後までガンドルフさん
終わりの時 僕たちの共同生活に終わりの時が近づこうとしていた。 そもそもこの共同生活がどのような意味を持っているのかは、誰もまともに理解できていなかったが、それと同時に誰もこの共
(この記事は、下記の日付にnote.comへと投稿したものをこのサイトで再投稿したものです。) 2021年4月24日の手記 前回の記事でガンドルフさんへの感謝を散々述べたことには
反骨精神 僕の反骨精神は半端なく強かった。 それは抑圧された子供時代の反発でもあっただろうし、その後に進んだヒッピー旅人文化の影響も大きいだろう。 だから僕に対して物事を教えると
エコロジー原理主義 彼のエコロジーに対する考え方は、少し過剰なところもあり、原理主義のように捉えられるかもしれない。 そこには共産主義的な思想の罠や地球温暖化詐欺などが潜んでいる
エコロジー 僕はこの共同生活で、非常に多くのことを学んだ。 まず、一番大きく影響を受けたのは、エコロジーに対する意識だ。 これは2001年の話で、エコロジーと言う話
夜中 僕たちはすやすやと心地よく眠っていたが、その安眠は夜中に妨げられることになった。 風が吹き出してテントを揺さぶり始めたのだ。 だが、日本の台風の恐ろしさを知っていたことが自
強風 日本に育った人間は台風の凄さをよく知っている。 特に沖縄ではその脅威は人を殺すほどであり、舐めてかかるものなど誰もいない。 僕は大阪の団地に育ったので、沖縄人ほど台風を経験
旅立ち Mくんのヒッチハイクは無事に進み、1週間もした頃には無事にドイツに着いたと言う連絡がメールを通して伝わってきた。 ビザの期限を超過したことは国境で問題になったらしいが、罰
Mくんの決心 Rさんの文無しの厄介さとOちゃんの文無しの力強さの両方を目の当たりにしたMくんには思うところがあったのだろう。 あるとき突然に、ドイツへ帰ろうと考えていると言い出し
二人の関係 RさんとCさんの関係が発展しようとしていた。 だが、恋心が成長するよりも先に、Rさんの共同生活においての厄介さがCさんの頭をもたげていたようだ。 既に色
共同生活での役割 皆で一緒に暮らすにあたって、それぞれがそれぞれの枠割を務める。 僕は重たい水瓶を毎日運んでいたし、人によっては料理したり、買い出しに行ったり、お金を出したり、地元の人との掛橋
恋愛関係 10人の共同生活において、僕とIちゃん以外は全員が独り身だった。 ガンドルフさんに至っては、つい先日に離婚したばかりだ。 それぞれが潜在意識的に恋愛関係へ
朝日 最高に楽しかったマジカル・フルムーン・エクリプス・パーティーは終わりに近づいていた。 夜が白み始め、朝日が登る時間が近づいてくる。 東の空が明るくなり始め、満月は西の空に沈
焚き火を囲んだ話2 色々な話があったが、一番衝撃的だったのはガンドルフさんの話だ。 彼はなんと、フェスティバルが始まる直前に離婚することになったんだという。 奥さんや娘がいるとい
焚き火を囲んだ話1 旅人が集まる場では、旅の話が一番盛り上がる。 誰もが興味があり、誰もが何らかの話を持っている。 僕が興味を持ったのは、DさんとEさんがこの後に向かう旅の話だ。
月蝕の終わり 月にかかった雲だと思っていたものは、実は皆既月蝕だった。 種明かしされても、驚きも感動も美しさも変わらない。 月は赤黒く光り、さっきまで満月の光のせいで見えなかった