キビ刈り サトウキビを刈る仕事は2月ころから始まる。 一月の半ばにはB君が隣島の島でのキビ刈りの仕事を見つけてきた。 明るい性格で人懐っこいB君は石垣
インドでの友人 年が明けて1週間ほどした頃に、インドのゴアで知り合った友人のB君がやってきた。 僕はB君のことはほんの少ししか出会っていないので良く知
朝 ものすごいタイミングで見ることができた初日の出に僕たちは意気揚々としていた。 この感じだと、これから始まる2002年は素晴らしい年になるに違いない。  
夜明け 完全に眠ってしまっては、初日の出を見逃してしまうので、H君と僕はお互いに寝過ごさないように注意して眠りについた。 だがその心配は全くの無用だっ
年末 僕たちがキャンプ場について1週間ほどした頃に年末がやってきた。 恋人のいない僕たちにとっては、世俗で騒がれるクリスマスなど、どうでも良い話題だったが、年越しは特別な日にした
石垣島に到着 H君との話は面白く、話に夢中になっているとあっという間に石垣島に到着した。 僕は沖縄に向かうという今回の自転車旅の目的を達成したので、そ
洞窟のグル H君はこの洞窟のグルの元で4ヶ月ほど修行をしたらしい。 その修行は中途半端なヨガクラスなんて話ではなくて、洞窟に住み込んで朝から晩まで休みなく修行すると言った類のものだったらしい。 その時にH君は呼吸法も習っ
不適応 H君は、レインボーギャザリングを大いに楽しんだのだが、そこでの文化である「何でもシェアする」というスタイルが居心地が悪くなって離れることにしたらしい。 &n
レインボーギャザリングの運営方法 そのイベントは、反資本主義的な思想を持っていて、全てが寄付とボランティアによって運営されていると言う。 イベントはイ
出会い 朝目が覚めると、気温はさらに暖かくなっていた。 もう完全に僕の知っている日本の雰囲気ではない。 フェリーの中を散策していると、向こうから長髪で髭面の男が歩い
沖縄へ 桜島から鹿児島市へフェリーで渡り、フェリーを乗り換えて沖縄の那覇へと向かう。 フェリーは、寝台付きで、一晩過ごせば那覇へと到着するという予定だ。  
峠越え これから宮崎から鹿児島へと向かうのだが、そのためには峠を越える必要がある。 低い丘のようなものだが、自転車の旅では低い丘でも多くの体力を消費する。 疲れる道中になることが
翌朝 朝日と共に目を覚まし、テントを畳む。 パチンコ屋の駐車場でキャンプしているところなど、近所の人に見られたくはないし、警官に質問されたりするのも面倒臭い。 &n
ATM 食べ終えて近くにある銀行まで自転車で向かう。 だが、残念なことにその日は日曜日で、ATM稼働していない。 こっちは曜日に関係なく自転車旅をして
大分県 フェリーがたどり着いたのは大分県だ。 僕の人生で大分県と関わることはなかったし、大分県出身の人と出会ったこともなかったので、一切の接点はなく、全くもって未知の土地だった。
覚悟 ここまで来て引き返したくはないというヤケクソの思いで覚悟を決めた。 僕は右利きなので、体の右側に自転車を持つと、自分の体が崖に面することになる。 なので、左手
崖くずれ さらに先へ進むと、看板が警告していた通りに、上から崖が崩れてきて、道路が塞がれていた。 アスファルトの道路の上に、5メートルほどの土砂の山が出来ている。 なるほど確かに
高知 高知県にたどり着くと、また雰囲気が少し変わった。 どことなく垢抜けているのである。 空気感が明るいと言うか、雰囲気が軽いと言うか。 南に面した湾の県なので、暖かく穏やかな自
室戸岬 僕は四国の南側の海岸沿いを走り続け、右下のとんがった部分にある室戸岬を通過した。 。。。はずだが、残念ながら今の執筆時の僕には室戸岬の記憶は何も残っていない。 かまぼこやお遍路さんや温
お遍路 僕は、沖縄へ向かう旅の途上で四国を自転車で走っているのだが、四国だけを目的として旅をしている人たちがいることに気がついた。 それは、お遍路という四国にある88箇所のお寺を回る巡礼のため
かまぼこ 新鮮なみかんを頬張った後に、美味しいうどんを食べることが出来たのは幸せなことだったが、僕を真に驚かせたのはかまぼこだった。 まさか、かまぼこを食べて驚くことがあるということ自体が驚き
移動の自由 普通の旅なら、近くのバス停に行ってバスの時間を確認したり、タクシーに乗り込んだりするのだろうが、僕の移動手段は自転車だ。 バスの待ち時間もなければ、タクシーにお金を払う必要もない。
港へ 生まれて初めての道路沿いの野宿だったが、緊張や恐怖よりも開放感が圧倒した。 僕は、そそくさと寝袋をしまい、キャンプマットを畳んで自転車の鞄へと詰め込んだ。 夜明け直後の朝靄の中、自転車に
出発 僕は、完璧に旅の準備を整えて、自信満々に旅立つことができた。 自転車旅を始めるにあたって、最もかっこいいと感じたのは、実家の玄関から出た時である。 空港から旅が始まるのではなく、家の玄関から旅が始まる
旅の始まり 次の日、朝早くに友人宅を出た。 姫路から大阪の母の家まで8時間かけて自転車で向かうのだ。 もちろん、再び電車に乗って実家へと帰るという選択肢もあったが、これから沖縄まで自転車で向か
自転車 大きな山小屋での同僚の一人に、アウトドアスポーツマニアの男の子がいた。 彼は色々なスポーツをこなすが、その趣味の一つは自転車旅行だった。 山小屋で働いてお金をためては、新しい自転車を買
777 僕は、この旅行記ブログは、人記事あたり大体800文字を目安に書いている。 前回の記事で、何文字くらい書いたかな?とみてみると、ちょうど777文字だった。 まるで、ギャンブル好きの祖父の霊が見守ってく
火葬 葬式の後は、近所の火葬場へ運ばれて荼毘にふす。 数時間かけて焼いた後は、祖父の亡骸は両手で救えるほどの遺灰のみとなった。 人の一生とは儚いものである。 僕がインドへ行って帰
不幸の連続 叔父の自殺の知らせと祖父の死とIちゃんとの別れは同じ時期にやってきた。 全てが一ヶ月以内に起こったのだ。 僕の頭の中にはIちゃんとのことが巡っていたが、それ以外の頭の
叔父の患難 叔父は借金取りのヤクザから追われる身となり、近畿各地を逃げ回っていた。 母の家にも借金取りからの電話がかかってきていたようだ。 昔の奥さんともしばらく前に離婚しており
実家 大阪の実家へ帰ってきて、しばらくの間は山小屋での疲れを癒すことに費やした。 僕が帰ってきてしばらくすると、祖父の容体が一気に悪化し始めた。 そもそも僕がイギリ
飲みっぷり 山小屋で何年も働く山男や山女たちの飲みっぷりは半端なものじゃない。 空気の薄い山頂ではお酒が回りやすい。 そんなところで毎晩晩酌をしている人たちにとっては、空気の濃い
お酌 僕は一人一人順番にお酒を注ぎつつ、会話をこなしていく。 それは社交辞令的な部分も大いにあるが、それでもそれぞれの個性と一対一で向き合って会話をするというのは、一歩踏み込んだ
会話の終焉 Iちゃんは話すことを話して、スッキリしたかのように離れていった。 彼女としても僕を傷つけたくないという思いと嘘をつきたくないという思いとK君に好かれたいといいう思いの
ドラマ とりあえず会話を続けなければ話にならない。 Iちゃんが好きになったのは誰なのか尋ねる。 だが、聞いても言葉を濁して伝えてくれない。 仕方がないので、候補になりそうな男性を
納得 僕はその話を聞いて納得することができた。 旅をしている最中にも常々彼女の独立心や自立心に疑問を感じていて、何度か彼女の精神的自立について話し合ったこともあった。  
回答 Iちゃんと会話をすることすら難しかったが、何とか機会を見つけて何が彼女の中で起こっているのか問いただすことができた。 その回答は、”時が来れば話す”
大きな小屋 寮では数日の間、他の小屋の従業員たちと和気藹々と過ごし、体の疲れをほぐした。 その後は一ヶ月ほどの間、以前働いていた大きな小屋で働いて山小屋バイトが終了する。 &nb
低地病 車酔いの苦しさに追い討ちをかけたのが、酸素の問題だ。 低地で暮らしていて急に標高2800メートルもの高地に上がると高山病にかかる。 酸素が薄いので呼吸がしづらく、脳内への
歩き方 もう一つ教えられてのは、下山時の歩き方だった。 山を降りるのは重力に任せて歩を進めるだけなので、簡単だと思われがちだが実は正反対で、ほとんどの事故は下山時に起こっている。
小屋閉め準備 山小屋での日々は小屋閉めへと向けて進んでいく。 「小屋閉めノート」に書かれたチェックリストを一つづつこなしていく。 このノートは、毎年入れ替わる山小屋バイトの誰にで
夜明け前 この日はいつもよりもさらに早起きだ。 なんせ目的は朝日に焼ける山頂をみることなので、日が上ってからでは遅いのだ。 夜空は既に白んでいて、夜明けが近いことを示している。
疲れ 昨日は8時間ほどぶっ続けで歩いたので足腰が疲れていたが、それ以上に山歩きの喜びが大きく、気分は高揚していた。 気分の高揚に任せてどんどんと突き進む。 何よりも気分がいいのは
秋 下界では残暑に苦しみ、蝉が泣き喚いているころだが、山では既に夏が終わり秋が近づいていた。 標高が1000メートル上がるごとに気温は6度づつ下がっていく。 さしづめ、2800メ
テント泊 小屋から20分ほど歩いたところに温泉があった。 温泉の色は白く濁った水色で、奇妙な神秘さがあった。 あまり自然の中で見る色ではない。 僕は雰囲気のあるボロボロの山小屋に
真の姿 生きるか死ぬかの状況に研ぎ澄まされた意識は、自然の真の姿を浮かび上がらせる。 もちろん、人間社会の埃をかぶっていない山は文字通り生命に満ちていただろう。 そこに研ぎ澄まさ
休暇 とんでもない超労働の夏の盛りを過ぎて、8月後半に入ると一気に登山客が減る。 その人数の増加具合と現象具合は、一種のバブル経済のような趣もある。 このタイミングが、僕たちバイ
海の日 支配人は常々、海の日がくるぞと言っていた。 小屋明けから海の日までの一ヶ月間は、繁忙期の準備のために費やされた。 山小屋の利益の7割ほどが、この3週間の繁忙期に集中する。
新人 夏バイトの二人は非常に優秀で、真面目でよく働き、人当たりも良く明るい人たちだった。 この小さな小屋に来る前にいた大きな小屋では、毎年バイト同士のいざこざが起こって、過度のス