大きな小屋 寮では数日の間、他の小屋の従業員たちと和気藹々と過ごし、体の疲れをほぐした。 その後は一ヶ月ほどの間、以前働いていた大きな小屋で働いて山小屋バイトが終了する。 &nb
低地病 車酔いの苦しさに追い討ちをかけたのが、酸素の問題だ。 低地で暮らしていて急に標高2800メートルもの高地に上がると高山病にかかる。 酸素が薄いので呼吸がしづらく、脳内への
歩き方 もう一つ教えられてのは、下山時の歩き方だった。 山を降りるのは重力に任せて歩を進めるだけなので、簡単だと思われがちだが実は正反対で、ほとんどの事故は下山時に起こっている。
小屋閉め準備 山小屋での日々は小屋閉めへと向けて進んでいく。 「小屋閉めノート」に書かれたチェックリストを一つづつこなしていく。 このノートは、毎年入れ替わる山小屋バイトの誰にで
夜明け前 この日はいつもよりもさらに早起きだ。 なんせ目的は朝日に焼ける山頂をみることなので、日が上ってからでは遅いのだ。 夜空は既に白んでいて、夜明けが近いことを示している。
疲れ 昨日は8時間ほどぶっ続けで歩いたので足腰が疲れていたが、それ以上に山歩きの喜びが大きく、気分は高揚していた。 気分の高揚に任せてどんどんと突き進む。 何よりも気分がいいのは
秋 下界では残暑に苦しみ、蝉が泣き喚いているころだが、山では既に夏が終わり秋が近づいていた。 標高が1000メートル上がるごとに気温は6度づつ下がっていく。 さしづめ、2800メ
テント泊 小屋から20分ほど歩いたところに温泉があった。 温泉の色は白く濁った水色で、奇妙な神秘さがあった。 あまり自然の中で見る色ではない。 僕は雰囲気のあるボロボロの山小屋に
真の姿 生きるか死ぬかの状況に研ぎ澄まされた意識は、自然の真の姿を浮かび上がらせる。 もちろん、人間社会の埃をかぶっていない山は文字通り生命に満ちていただろう。 そこに研ぎ澄まさ
休暇 とんでもない超労働の夏の盛りを過ぎて、8月後半に入ると一気に登山客が減る。 その人数の増加具合と現象具合は、一種のバブル経済のような趣もある。 このタイミングが、僕たちバイ